2015年4月1日
【いよいよ戸建住宅も対象に。「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」】
今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になる。この機会に、この制度を通して県が目指していることや、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりなど、本来消費者が住まい選びの際に知っておくべき情報をシリーズでお届けする。
今回は、この県の制度の概要と県が目指していることについて、長野県環境エネルギー課の田中信一郎氏に話を聞いた。
―どのような制度なのですか?
田中 長野県は昨年、地球温暖化対策条例の一部を改正し、「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」をスタートさせました。今年4月からは、300㎡以下の戸建て住宅も義務の対象になります。この制度は、建物を新築する施主に、建物の断熱性能などの環境エネルギー(省エネ)性能を把握・検討を義務付けるものです。工務店やハウスメーカーには、施主に対して説明の努力義務を設けています。
―具体的には、どのように断熱性能などを把握・検討したらよいのでしょうか?
田中 県は、エネルギーパスやCASBEEなどのいくつかの建物の環境性能の評価ツールを指定しています。建築事業者には、その中のいずれかを使用して、計画中の建物の性能を施主の方々に説明していただくことをお願いしています。
―施主にとっては、この制度はどのようなメリットがあるのでしょうか?
田中 今まで住宅などを建てる際には、建設費ばかりに目が行っていて、光熱費などのランニングコストには意識が向けられていなかったのが一般的だった思います。建築主は、ランニングコストに目を向けようにも、判断材料がなかったわけです。この制度によって、建築主は、建設費とランニングコストのバランスを見て、最適な住宅などの性能を選べるようになります。グラフの通り、県民の方々にとっては、光熱費の負担がどんどん重くなっています。この制度は、県民の方々の光熱費負担の軽減につながると考えています。
―その他に施主にメリットはありますか?
田中 断熱性能の高い住まいは、冬暖かく、夏涼しく、とても快適です。それに加えて健康にいいことも明らかになりつつあります。断熱性能の高い住まいが増えることで、県民の方々がより健康的に暮らせるようになると思われます。
―県全体にとっては、どのような意味がありますか?
田中 もちろん、冷暖房に使われるエネルギー消費量が減らせられれば、温室効果ガス削減になります。そしてもう一つ大きいのは、光熱費の支出というのは、そのほとんどが県外(国外)にお金が流失していることを意味します。適切な断熱性能を確保することで、流出しているお金が地域の建築事業者に還流すれば、ひいては県全体の経済活性化につながります。
これから住まいづくりを考えている方にとっては、有益な判断材料が得られるとても意味がある制度ができたようだ。
次回は、住まいの断熱性能と健康との関わりについて踏み込んでみたい。