2015年5月27日
【断熱性能向上には窓の性能が大切】
今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。この機会に、県がこの制度を通して目指していることや、本来、消費者が住まい選びの際に知っておくべき、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりなどについて、シリーズでお届けする。
前回、我が国の窓の断熱基準が、他国に比べて大幅に劣っていることを紹介した。写真は、ドイツと我が国で一般的に使われているサッシだ。写真を見るだけでも、性能の違いがイメージできるのではないだろうか?
窓の性能は、住まいの断熱性能等を決めるとても重要な要素だ。YKKAP株式会社窓事業企画部の石川創企画室長によると、図に示した通り、冬に流出する熱のなんと52%は窓から逃げているのだという。さらに夏に流入する熱は、74%が窓からなのだそうだ。
つまり、窓の断熱性能を高めることで、暖房および冷房で消費するエネルギーを大きく削減できる。さらには、冬に室内の暖かい空気が窓際で冷やされて足元に流れる“コールドドラフト”と呼ばれる人体に不快感を与える気流を防止できるなど、「健康」で「快適」な暮らしにもつながるのだ。
また石川氏によると、方位によって、窓を使い分けることも大切だそうだ。東面の窓は大きな窓で朝日をたっぷりと取り込むのが良く、一方西面はむしろ窓を小さくして、より日射を遮蔽するタイプのガラスを選択するべきだという。またアウターシェードの利用も西面では有効だそうだ。そして南面は、夏と冬で太陽高度が異なることを利用して、庇を設けて夏は日射を遮るようにし、冬は日射を取り込めるようにガラスは日射取得タイプを選ぶほうがいいそうだ。それにより、冬は暖かい日差しで部屋を暖められるようにすると暖房費を減らすことができるという。
次回は、ここ数年普及しつつある樹脂窓について説明したい。