2015年5月6日
【もう一つ始まった制度「長野県自然エネルギー導入検討制度」】
今年4月から長野県では、新築戸建て住宅も「建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。実はこれと対をなす制度として「建築物自然エネルギー導入検討制度」も始まっている。この制度も300㎡以上については昨年4月からスタートしており、戸建住宅も含めた300㎡未満の建築物は、今年4月から対象になっている。
長野県環境エネルギー課企画幹の田中信一郎氏によると、「自然エネルギー導入検討制度」により、建築主は、建物を新築する際に、自然エネルギーの導入についての検討が義務づけられている。また、設計・建築事業者には、建築主に対して自然エネルギー導入可能性の説明が求められている。推奨されている自然エネルギーは、太陽熱・地中熱の利用、薪ストーブなどの木質バイオマスストーブ、太陽光発電であり、建築主は、設計・建築事業者の説明をもとに、これらの自然エネルギーを導入することのメリット・デメリットを勘案して検討することになるということだ。
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長野県は、「建築物自然エネルギー導入マニュアル」を用意しており、設計・建築事業者は、このマニュアルを活用して説明することになる。このマニュアルは、一般の人にもとても分かりやすくまとめられており、とても勉強になる内容だ。「建築物自然エネルギー導入マニュアル」で検索すれば、インターネットで読むことができるので、是非一読をお勧めしたい。
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このマニュアルの最大の特色は、いきなり自然エネルギーの導入についての検討を求めているのではなく、まずエネルギー利用の効率化についての検討を求めている点だ。具体的には住宅の場合、断熱性や気密性等を高めることで、エネルギー利用の最小化を図ることが大切だと説いている。つまり高断熱化などによりエネルギーロスを可能な限り省いてから自然エネルギーを導入しないと、ロスの分までエネルギー供給の必要に迫られ、過剰・無駄な設備を導入することになってしまうという。
またこのマニュアルでは、長野県内の世帯当たりの年間エネルギー使用量について分析している。これによると、長野市のエネルギー使用量(熱量換算)は全国平均と概ね同等だが、支出額(金額)では、灯油など暖房用のエネルギー購入量が多いため、全国平均よりも多くなっている。そのため住宅については、冬季の断熱および暖房性能に着目することが大切だと説明している。
住宅取得を計画している方は、この制度に基づき、設計・建築事業者からもっと詳しい説明を受けて、自然エネルギーの導入について検討していただきたい。
次回は、太陽光発電の新しい潮流として、住まいとクルマの新しい関係“V2H”について紹介したい。